ジビエ業界を調べていて、ふと思いました。
「団体、多すぎない?」
国産ジビエ認証機構、ジビエト、日本ジビエコンソーシアム……。名前も活動内容も似ていて、外から見ると違いがかなり分かりづらい世界です。
実際、ジビエ業界はまだ発展途中の分野です。そのため、“業界を統一する絶対的な存在”がなく、目的ごとに団体が増えてきた背景があります。
この記事では、現在の主要団体を整理しつつ、「なぜ乱立状態になっていると感じるのか?」をまとめていこうと思います。
全国的な制度・政策に関わる主体
あくまでも私の主観ではありますが、知名度や規模では以下の3つが全国的といえるのではないでしょうか?
- 一般社団法人国産ジビエ認証機構
- 一般社団法人日本ジビエ振興協会
- 鳥獣食肉利活用推進議員連盟(ジビエ議連)
このうち、国産ジビエ認証機構と日本ジビエ振興協会は、もともとは同じ組織にあり、「国産ジビエ認証制度を運営する部門」が独立法人化したのが国産ジビエ認証機構というわけです。
そのため、日本ジビエ振興協会は業界を育てる・広げるなど包括的なことを目的にしている一方、国産ジビエ認証機構は認証制度のみと限定的な印象です。
ちなみに、なぜ分離したかというと、認証の公平性を保つためだそうです。
3つ目のジビエ議連とは自由民主党の集まりで、衛生管理やトレサビリティといったジビエ活用を推進するための国会議員グループです。
また、これら3つは比較的近い関係にあると思われます。
理由として、国産ジビエ認証機構とジビエ振興協会はもともと同じ組織であったわけですし、ジビエ認証機構が発行する『国産ジビエ認証』は農水省が推進するもの。その農水省やジビエ議連と度々同じ場で活動しています。
例として、
先日、「FOODEX JAPAN」が開催され、私が勤めているジビエ施設が出展しました。
その際、日本ジビエ振興協会の呼びかけのもと、国産ジビエ認証を持つ複数の施設と石破茂さん(ジビエ議連代表理事)で発表・交流・試食会が行われました。
こういった大物政治家や大舞台での活動という事例を見ると、ジビエ関連で主要な団体は以上の3つだと考えられます。
業界系の団体
続いて、業界系のジビエ団体です。これも私の主観ですが、ここでは代表的なものを挙げています。
細かく見ていくと、まだまだ多くの団体や取り組みがあります。
認証系で見てみると、「日本エゾシカ協会」は先に触れた『国産ジビエ認証』ほどの全国規模はないにしろ、地域や対象個体を限定し、一部地域をまとめる強い意味を持つ認証です。
一方、取得施設がごく少数にとどまる認証も見られます。
自治体ごとに独自認証を作り、それをその自治体内の1つのジビエ加工施設に付与するということもあります。
私個人として、このような小規模な独自認証はかなり否定的です。
初めてジビエに触れる人がこの認証を全国規模で統一された由緒ある認証と勘違いし、この独自認証のジビエに触れて、マイナスなイメージを持った時、ジビエ業界全体に悪いイメージが波及することを大変危惧しています。
認証を名乗る以上、親元がそれなりの規模で加入施設が多く、厳しいマニュアルとジビエのプロによる精査があってこそだと思います。
他の団体だとブランド化の強化を目的としたものがあります。
「九州ジビエコンソーシアム」は九州地域のジビエ事業者や関係者が連携して、販路づくり・情報発信・イベント開催などを進める地域ネットワークです。
この「九州ジビエコンソーシアム」は一風堂コラボも実施したことがあり、地域ブランド化統合における団体の見事な成功事例とも言えます。
他にはイベントやポータルサイトとしてジビエを扱うものもあります。ただし、日本や全国といった大規模なネームを使用している割にはその規模や影響力は様々で、私も初見で聞いたとき、どういう反応すればいいのか困ったことがあります。
ほんとうに大小さまざまな団体や独自の方向性が乱立しており、私自身大変ややこしいと感じます。
なぜ乱立状態と感じるのか?
○○ジビエ認証や全国ジビエ××みたいな団体がなぜ乱立すると感じるのか、それはひとえに「ジビエ業界に、まだ単一の標準や強い統括主体が定着していないから」だと思います。
その詳しい理由としては以下が考えられます。
- 業界がまだ成長途中だから
- 地域ごとの事情が大きく異なるから
- 目的がそれぞれ違うから
ジビエの市場はまだ小さく、豚肉や牛肉ほどの団体数はありません。
しかし、ジビエに関しては独自の方向性やジビエ業界を変えたいという意識から大変密度の濃い市場となり、それゆえに私は乱立というややカオスな印象を受けています。
ジビエ市場は成長中ゆえに国や自治体からの『補助金』が豊富にあります。
補助金に関してもシステム的には合理だと思われていたものが、補助金の対象外なので、補助金対象の不合理なサービスを採用してしまう、こういったことも市場競争をより混沌とさせている気がします。
そして、ジビエは安全にこだわると非常にコストがかかる。ハンターが自ら捕獲した獲物を自ら解体・処理し、そのジビエを消費者に販売・提供するには、営業許可を受けた適切な処理施設や衛生基準への適合が必要です。これらを満たさずに販売・提供することは認められていません。しかし、私はこういう状況が一部まかり通ってしまっていると感じます。『国産ジビエ認証』にかかるコストの高さや役所の都合で独自の認証基準で運営する団体、そして、衛生管理や流通経路の透明性が十分に見えにくい事例もあるのではないかと私は感じています。
また、ハンター上がりで今まで畜産に縁がなく、たった数度の研修を受けたような人が処理する現場があればプロの肉屋だったものが運営・管理する作業場もあります。そういった技術的差も混沌とさせていると感じます。
こういった不満が多くの起業家や活動家を駆り立て、「新しい」や「画期的な」が乱立しているのだと思います。
ながながと生意気なことを書きましたが、私自身、若造でジビエはおろか畜産歴もかなり短いです。
それでもジビエ業界全体が良くなるよう、自分にできることを小さなことでも1歩1歩努力していきます。
みっつー